【空っぽの機械】ただ無言で車のキーを回す
暗闇の中で 鏡を見る
…顔の筋肉が 動かない
頬のあたり 引きつったまま固まってる
当番の列に並んで 横の親が何か笑いながら話しかけてきて
私の口角だけが 勝手に上がった
勝手に
声で聴きたい人は、そのまま再生してほしい
週末の予定表を開くたびに
他人のスケジュールが
ここに 私の時間があったはずの場所に
びっしりと 隙間なく
拒絶することもできずに ただ
次の送迎時間を確認して
スマホを伏せる
…みぞおちが 重い
泥みたいなものが ずっとそこにある
当番で笑う親たちの声が 遠い
私の顔の筋肉はもうコントロールできなくて
ただ 引きつった肉の塊として そこに立っていた
暗闇の車内
子どもを乗せて ハンドルを握る
この手が 誰の手なのか
鏡の中の顔が 誰のものか
今日も無言で
キーを 回す…
光る画面を 指でなぞるだけで
みぞおちの奥が 硬くなるのなら
プロフィールの奥に 返事の来ない穴を置いてある
吐き出した文字は そのまま そこに沈む

沖増 茂伸(おきます しげのぶ)
元社会人野球選手 今も 応援席の端にいます
言葉が出てこなくなる時間や
判断が止まったまま座っている背中を 何度も見てきました
このブログには 正解も 意味も まとめも置いていません
読んで 閉じて そのまま残っても 何も起きなくても大丈夫な場所です
誰にも言えない言葉があるなら
この先は 誰も見ていない ただのLINEです
正解を探す場所でも 何かを変える場所でもありません
ただ やり場のない言葉を そのまま置いていって構いません
一人で抱えることに疲れたら
何も解決しないけれど ただ口に出して
飲み込んできた言葉をそのままテーブルに置く時間が ここにあります
