<間違いだらけの野球教室>試合の流れの変え方について

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<間違いだらけの野球教室>試合の流れの変え方について

 

毎回、熱くドラマティックな試合を繰り広げている100回記念大会の甲子園。見ている高校野球ファンを熱くさせる試合ばかりでとても感動する。今回の大会でも見どころ満載で見たい選手、見たい試合がたくさんある。

 

見どころ満載の試合の中で私が「この試合はどうしても見たい」という試合があった。この試合が見たいがためにこの日のこの時間は予定を入れずテレビの前に座って試合を見た。

 

その試合とは8月15日の2回戦、第2試合目の興南高校(沖縄)対木更津総合高校(東千葉)の試合である。特別に両高校を応援しているわけでも注目して見たい選手がいるわけでもない。高校野球ファンとして見るわけでもない。この試合は指導者、勉強する立場としてどうしても見たい試合だったのだ。

 

なぜか…

 

結論から言うと「試合の流れがどう変わるか」が見たかったのです。

 

野球経験者や監督、指導者の方ならよくわかるはず「試合の流れ」と言うものが存在します。試合の流れが自分たちの方に来ていれば試合展開も思うようにいくし、リズムにも乗れるので自分たちの野球ができますし、有利に試合を運べます。しかし、試合の流れが相手チームに行くと先ほどとは逆で何をやっても上手くいきません。いい当たりが正面でゲッツーとか、自分たちのリズムになんとなく乗れないなど経験したことがある人は分かると思います。

 

こう言った「試合の流れ」を自分たちのチームに持ってきたいと思い、いろいろなことをしますし、流れを「感じて読む」ことも必要になります。どういった場面で「試合の流れ」が変わるのか?どういったことをすれば「試合の流れ」が変わってしまうのか?この「流れ」を変えることができれば有利に試合を運ぶことができます。

 

この「試合の流れ」を感じ取る、または「こう言った場面で流れが変わる」が学べる絶好の試合が8月15日の2回戦、第2試合目の興南高校(沖縄)対木更津総合高校(東千葉)の試合だったのです。

 

試合の流れが変わったりするのはだれも予測できませんし、「ここだ!」と後になって分かるものであって「もうすぐ流れが変わる」という場面はなかなかありません。でもこの試合は「ここで流れが変わる」とい場面があらかじめ分かる試合なのです。この試合のあの場面で流れが変わるから絶対に見ておきたい試合なのです。

 

前置きが長くなりましたが、ここまで書いたらお気づきの方はいらっしゃると思いますが、8月15日の2回戦、第2試合目の興南高校(沖縄)対木更津総合高校(東千葉)の試合日は終戦記念日です。終戦記念日の8月15日の正午に「黙とう」をします。黙とうをするために試合を中断して1分間の黙とうに入ります。それまで熱く激しく盛り上がっていた試合がここで「ピタッ」と止まってしまうのです。

 

そして「黙とう」とは目をつぶり、軽く頭を下げて祈りをささげます。特にこの日は戦没者に対し弔いの意を込めて祈るので心が平常心に戻ります。

 

私はこれで絶対に流れが変わると思っていました。この流れがどう変わり、どうすれば意図的に流れを変えることができるのかを学びたかったのです。

 

やはり、この中断後に試合展開が大きく変わり流れが完全に変わっていったのです。

 

試合展開は4回裏、木更津総合高校1対0興南高校で裏の興南高校の攻撃、それまで再三のチャンスを作るも相手の好守などで得点が奪えず流れを持ってくることができませんでした。そんな中、4回裏の攻撃は0アウト1塁2塁のチャンスを作り流れが少しづつ興南高校に行きかけたその時に、試合が中断します。1分間の黙とうです。

 

私は野球の神様はすごい場面を与えてくれるなと思いました。流れが興南高校に行きかけたその時に、ここで中断ですか!私はワクワクしました。「絶対に流れが変わり何かが起きる」そう確信しました。

 

1分間の黙とうが終わり、投球練習が終わり試合再開です。4回裏0アウト1塁2塁の場面で再開。流れを見ている私はもうワクワクですよ。もうすでに「流れが変わっている」場面ですからどんな作戦で、選手たちにはどう声をかけているのか、私だったらどんな言葉を選手に言うのか。そんなことを考えていました。

 

結果的に0アウト1塁2塁で送りバンドをするもいい番とではありましたが相手投手の好フィールディングで3塁アウト。続くバッターも積極的に打つもショートフライで2アウト。続くバッターもセカンドフライで3アウト。

 

結果論ではありますが、0アウト1塁2塁の勢いのまま試合が展開されていたら…また違った展開になっていたのかもしれません。

チャンスをものにできず次の5回表の木更津総合の攻撃にホームランを打たれて1点を取られます。

 

結果的に0対7で試合は終わりましたが、結果論ではありますが8月15日の正午に黙とうをするために試合が中断するとあらかじめ分かっていた試合で流れが変わると予測もできたはずです。その対策を監督はどのようにして選手にアドバイスをしたのか?あの場面が…となってしまいます。

 

私はこの試合、あの場面をみて非常に勉強になりました。どうすれば試合の流れを変えることができるか。どう言ったことをすれば試合の流れは私たちの方に来るのか。本当に参考になりました。

 

監督や選手がタイムを取るタイミング、伝令を送るタイミング。選手同士で声を変え合う内容。監督の指示の内容。1つのプレー。1つの作戦。一人の行動。こう言ったことで試合の流れは大きく変わってきます。

 

試合の流れを感じ読み取ることができるように、瞬間瞬間を考えながら「ここかな?」と思ったら大胆に行動して見て下さい。試合は「試し合う」場所なのですから勝敗も大事だとは思いますが負けること、失敗することからの方が多くを学べることもあるのです。

 

「試合の流れ」を意識しながら楽しく野球をやってみてください。

 

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